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JUST UP JEAN 都
   
 

もう一つの結婚式・・・ブーケに込めた思い
先日無事に結婚した我が妹サマンサ
父(ヤマボウシ)はその時どのような思いで妹の結婚式を迎えたのか?

惜しみない愛情で結婚式を成功させた父の物語


父親は娘が生まれた日・・・涙する

この可愛い娘が・・・将来嫁に行く日の事を思い

妹の結婚に最後まで許しを出さなかったのは父である

しかし妹の結婚に1番熱心だったのも父である

 

父は仕事を休み結婚式の打ち合わせには全て参加した

衣装合わせの打ち合わせに行き

披露宴のプログラム作成から席次表

ありとあらゆる場面で妹の結婚式を成功させる為に努力を惜しまなかった

式の一週間前には親戚を集め「サマンサを励ます会」を開催

家族というものは中々あらたまってお祝いの言葉を言い難いものである

励ます会ではメグム(祖父)・母・父・私がそれぞれに自らの気持ちを伝えた

 

式の前日

父は結婚する娘への最後のプレゼントを作りはじめた

父から娘へ愛情の詰まったブーケを

「ブーケの作り方」と書かれた本と

花を作っている農家まで直接買付けに行った

とびっきりの花を用意して・・・独り部屋にこもった

ブーケ作成は朝から始まり・・・・そして日付が変わった

私も作業する父の事が気掛かりで中々寝る事が出来ない

いつになく真剣な父の表情

・・・話し掛けるも躊躇する

時間も時間だ・・・手伝いたい気持ちはあるが・・・

父がどんな気持ちでブーケを作っているのか・・・想像すると

・・・サンチェの出る幕はなく

ヤマボウシ「おい!ちょっとコレを持ってくれ」

サンチェ  「お・・おお」

サンチェはブーケを持つ・・モデル役で精一杯でした

ブーケを作る父の腕は時折・・・小刻みに震えていた

朝からの作業で指先の感覚がなくなったのか?

それとも妹との思い出を思い出してか?



2つのブーケ・・・そして髪につける花

父のブーケ作りは夜中の3時まで掛かった

サンチェ「親父しっかり寝とけよ・・・明日大変だぞ!どうして・・・計画的に作らないんだ?」

父   「早くに作れば花が弱ってしまう!娘の晴れ舞台・・・ブーケも1番綺麗な状態で持たしたい」

 

結婚式当日

迎えのバスが到着したが・・・父はブーケの最期の仕上げに夢中になっていた

結婚会場に入り親戚に挨拶を済ませた父は

ブーケを持ってメイクさんも元へ

「今回は無理を言って申し訳ない

髪に付ける花飾り・・・どんなのがいいのか

わからずに沢山作ってしまいました・・・1番似合う物を付けて下さい」

何人の娘が結婚するのだろうか?・・・余った花飾りは5人分

神前の式が終り披露宴がはじまりました

父としては娘の晴れ舞台をしっかりと見ておきたいはずです

しかしそんな余裕はありません

「どうか娘の事をよろしくお願いします」「可愛がってやって下さい」

ビールを持って各テーブルを廻ります

父の作ったブーケを持った妹が入場します

ワイン色のドレスに合わせてピンクの薔薇で作ったブーケ



そのワイン色のドレスからウェディングドレスに着替える為の退場の時

司会者から父が呼ばれました

照れた表情で父は妹のところに

ぎこちない手つきで腕を組む妹

父にとって娘と腕を組むという行為は人生初めての事だと思います

父も娘と腕を組みバージンロードを歩きたかったと思います

父にとって妹にとってのバージンロードはこの退場だったのかも知れません

ザワザワしていた会場が静まり返り・・・拍手が贈られました

ウェディングドレスで入場してきた妹の腕には

父が最後の最後まで試行錯誤して作り上げた胡蝶蘭のブーケが

兄の私が言うのは変ですが・・・綺麗でした



両親へ贈る感謝の手紙を読む妹

泣き崩れる母とは対照的に

毅然に振る舞い・・・

流れる涙を隠す為に必死に笑顔を作る父の姿

 

父にはよく山や川に連れて行ってもらった

自然が好きで木や花が好きな父

山登り・昆虫の取り方・キャンプの張り方・川での遊び

二人の兄妹に色々な事を教えてくれた

冬になると風邪をひかないように乾布摩擦を教えてくれた

私も妹も夏休みの自由研究は父が手伝ってくれた豪華な昆虫標本でした

いつも父にべったりだった妹も

成長して反抗期に入り・・・父との会話もなくなった

フランス料理屋への就職を最後まで反対していた父

帰りが遅いのが心配だったからだ

実際に働く様になってからは1番の常連客になったのも父

今までフランス料理など・・・食べた事もないくせに

親戚・部下・友達が遊びに来てくれた時は必ずと言っていいほどに

「娘がフランス料理屋で働いていてね〜行ってみようか?」


思い込むと一つの事に集中して周りが見えなくなる妹

真剣に仕事する為に自分の不甲斐なさに悩む事もしばしば

そんな時・・・行き先も告げづに家を飛び出す

父はオーナーに電話して

「すいません!体調を崩してしまいまして・・・2・3日休みを下さい」と頭を下げるのです

仕事を休み妹の行きそうな場所を必死に探す父でした

家出した時はサンチェに「すまんが・・相談にのってやってくれ・・・父には話そうとしない」


妹が付き合っていた男と別れた日を境に

父は家族に内緒で妹の休日(木曜日)に合わせて年休をとるようになった

「買い物に行かないか?」「飯でも食べに行こう!」

木曜日の朝・・・いつも父からの誘いの電話で目が覚める妹

父なりに・・・必死で妹を励ました

 

仕事がらほとんど男性と出会う機会のなかった妹

父は色々な所に見合い話の相談に行った

いざ相手の見合い写真やプロフィールが届くと

「コイツは駄目だ」「これもイマイチ」と熱心に吟味する父であり

実際に本人同士が会うとなれば

「サンチェよ・・○○○に20時らしい・・・様子を見て来てくれ」っと

キングが結婚の了解を得る為に家に来た日

家族皆が賛成の中

「少し考えさしてくれ」

後日返事を貰いに来たキングに「来週まで返事は待ってくれ」

最後の最後まで・・・必死に抵抗した父であった



 

妹の結婚に最後まで許しを出さなかったのは父である

しかし妹の結婚に1番熱心だったのも父である

妹の幸せを1番に願っているのも父である

・・・・・これから先も・・・ずっと

 

父親は娘が生まれた日・・・涙する

この可愛い娘が・・・将来嫁に行く日の事を思い


結婚式で輝いていた妹

その理由のひとつに

父の作ったブーケがあった事を私は忘れない

 

2002.6.23 サンチェ